「THIS IS US/36歳これから」を見るべき理由3つ

「THIS IS US/36歳これから」では、アメリカを象徴するような問題点3つが描かれているのですが、それについて順番にご紹介していきます。

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【その1】 人種問題

普段はアメリカ在住の私ですが、現在日本に一時帰国中です。

日本に帰ってきて強く感じるのは、日本ではほぼ人種が同じで、アメリカのように肌の色も話す言語も異なる、色々な人種が混ざりあった国ではないという事です。

ドラマ「THIS IS US/36歳これから」では、白人の夫婦が黒人の捨て子の子供を自分の子供として育てていく事に焦点が当てられています。

つまり、社会の最小単位である「家族」の中に、その人種の混ざり合いができてしまうって事です。

https://twitter.com/TheMandyMoore/status/925543351100698624

アメリカの映画やドラマの中を見ていると、白人と黒人が親友同志で仲良しというシーンが頻繁に出て来るので、それが一般的だという印象をもたれるかもしれないのですが…..

実はこれは、ポリティカル・コレクトネスと呼ばれるものにすぎません。

ポリティカル・コレクトネスとは、簡単に言うと「差別や偏見をなくすための活動をする事」です。 多民族国家のアメリカには、色々な人種がいるのに、映画やドラマの中に白人ばかりが出るのは問題だ、という考え方から始まった事なんです。

アメリカにいると、ポリティカル・コレクトネスにみんなとても気を使っているのを感じます。

その考えに基いて、映画でもドラマでもCMでも、各人種をある一定の割合で入れなければならない、という暗黙のルールがあるために、そういう設定になっているだけなんです。

でも、実生活の中では、自然に自分達にとって気心がしれた同じ人種間で固まる事がほとんどなので、映画に出てくるような、白人と黒人同志の親友に近い友情はあまりないのが現実です。

アメリカで生まれ育って、母国語が英語の人同志であっても、やっぱり自分と同じような人…それは肌の色とかそういう事だけじゃなくて、自分のバックグラウンドや、習慣や教育、宗教等…と一緒にいる方が心地よいのは、考えてみれば当然の事ですよね。

カリフォルニアは、全米の中でも特に色々な人種が混在しているのですが、お金持ちの白人が多く住む地域、お金持ちのアジア系が多く住む地域、中流の白人が多く住む地域、黒人が多い地域など、その人種と属性によって、住む場所も自然に分かれてきています。

「THIS IS US/36歳これから」では、黒人の子供を白人の夫婦が自分の子供として育てていく事が、ドラマの主要テーマとして描かれていくのですが、この家族の中にある「人種問題」をオブラートに包む事なく、まっすぐに捉えて行こうとする姿勢が素晴らしいなと思います。

2017年のアカデミー賞を獲得した映画「ムーンライト」では、アメリカに住む黒人が生きていく上での葛藤をきれいな画像で描かれていたのが印象的でした。 私の下記ブログの中でも取り上げていますので、よかったらご覧になって下さいね。

【その2】 家族の問題

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ドラマ「THIS IS US/36歳これから」では、主人公の夫婦は、捨てられていた黒人の子供を自分の子供として育てる事になりました。

でも、生まれたばかりの赤ん坊を3人連れ帰ってきた新米の母親は、泣きやまない黒人の子ランダルについて、イライラしながら夫にこうぶちまけてしまうのです。

「自分のお腹にいなかったこの子には愛情が持てない。他の子はずっと私のお腹にいたけど、この子は赤の他人の子供なのよ」と。

たとえ自分の子供でも、ずっと泣き止まなかったらイライラしてしまうのに、ましてや3人の赤ん坊を一度に面倒を見るのは本当にメチャクチャ大変なので、こう言ってしまう母親の気持ちはわかるような気がしますよね。

でも、夫婦二人で何とか3人の子供を育てて行こうと決心した後は、血のつながりはなくても、ランダルも愛情を持って育てて行こうと頑張っていきます。

ただ、ランダルだけが自分の子ではない為に、ランダルが、少しでも不憫な思いをしないようにと気を使って、双子のケビンとケイトよりもランダルを最優先にしてあげようとするのです。

双子の方は、自分たちの実の子供なんだから、それほど目をかけなくても大丈夫だろう、って思う所があったんですね。

その結果、双子に寂しい思いをさせる事になってしまう…という、また別の問題が起こってくるのです。

その結果、ほったらかしにされていた双子のケビンとケイトが、いつまでも二人でべったりくっついてしまって、お互いを依存し合うような、少しいびつな関係を作る事になってしまったのかもしれない、と感じました。

【その3】 肥満の問題

この一家の3人の子供のうち、女の子であるケイトは子供の頃から太めで、友達からイジメを受けたりする事もあり、自分の体型にかなりコンプレックスを持ち続けながら大人に成長します。

36歳になったケイトを演じているクリッシー・メッツ自身も、身長165cmで体重181kgと、かなり太めです。

太めの人が多いアメリカなのに、何故かドラマに出てくるのは、スリムな人か、もしくは太っているといっても、ぽっちゃり程度がほとんど。

現実のアメリカ社会では、ケイト位の太めのアメリカ人男性や女性も、結構あちらこちらでみるにもかかわらずです。

普通のドラマだったらなかなか出てこないような、リアルな太めの女性を、ドラマ「THIS IS US/36歳これから」の主要人物の一人として登場させた事は、かなり画期的な事です。

ケイトの存在は、ズバリ、アメリカ社会の肥満問題を象徴しているのです。

画像:pixabay


アメリカに住んでいて感じるのは、自分でよっぽど強い意志を持っていないと、普通の生活をしていたら太って当然という現実です。

日本だったら、買い物へ行くのも徒歩か自転車を使う事が多いけど、アメリカだと公共の交通手段もほとんどないし、距離的にも歩いては行けないので、どうしても車を使う事になってしまいます。

それなのに、食べる食事は高カロリーのものが中心。

自分で作る以外、お手軽にちょっと食べられるものも、ハンバーガーにフレンチフライや、ピザが中心。飲み物も、砂糖がたっぷり入ったような炭酸飲料という組み合わせになってしまいます。

ハンバーガー
画像:pixabay

食べたカロリーは消費されないまま、身体の中に残ってしまうので、アメリカ人のほとんどが「太り気味」になる訳なのです。

さすがに、「THIS IS US/36歳これから」のケイト位に太っていると、「自己管理ができない人間=仕事がきちんとできないタイプ」、だとみなされる事も多いせいか仕事を探すのも難しく、当然の事ながら、交際相手を見つけるのも至難の業です。

そういう、アメリカが抱えている肥満という問題に対して、このドラマ「THIS IS US/36歳これから」が真正面から向き合ったという点も、このドラマに人気がある秘密の一つなんでしょうね…。

「THIS IS US/36歳これから」を見るべき理由【まとめ】

というわけで、このドラマ「THIS IS US/36歳これから」は一人でも多くの方に見ていただきたいドラマです。特に女性の方に絶対おすすめです。

それから、高橋一生さんが吹き替えをしているので気になりつつも、せっかく見るなら、やっぱりオリジナルの英語の音声で、字幕で見る方がドラマの雰囲気が出ていいような気がします。

このドラマ11月15日時点で、まだ「6話」までしか放映されていません。全部で18話あるので、途中からだとつまらない、なんて言わないで、是非来週からでもご覧になってみて下さいね。

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