私も愛用しているアメリカのムービーパス。1ヶ月9.95ドル(約1000円)で、映画が見放題が売りでしたが、現在の低価格では運営に困難があるためか、何度も使用が制限される条件が付加されてきましたが、今月からは1ヶ月3本のみの視聴に加え、料金の値上げも予定されています。
今回は、ムービーパスの現状に加え、これまでムービーパスを使ってみた感想をお伝えしていきます。
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アメリカ・ムービーパスと映画館の値段設定
アメリカの映画館で映画を見ると、1本あたり10ドル(約1000円)から16ドル(約1600円)位かかります。
映画の値段に差があるのは、映画料金が人気のある時間帯かどうかによって異なってくるからです。
たとえば、その日の一番早く上映される映画は、あまり人が来ない事から値段は設定され、一方午後6時以降とか、土日などの、人が多く集まる時は、それに合わせて映画の値段も高くなるのです。
これまでムービーパスは、一ヶ月の料金がたった1本の映画の料金と同等、もしくはそれ以下で、映画が見放題という信じられないような条件で、映画ファンにとってはこれ以上ない、理想的な価格設定でした。
でも、やはりこの価格設定は長くは続かなかったのです。
アメリカ・ムービーパスの現状
映画館とムービーパスとの関係
What's butter than going to the movies? pic.twitter.com/VQOLSIsrRb
— MoviePass (@MoviePass) 2018年5月3日
実は、映画館にとっては、お客がムービーパスを使うか、チケットを購入して映画を見るかによる違いはありません。
なぜなら、顧客がムービーパスを使って映画を見た場合、映画館はその映画の代金をムービーパスの運営会社に請求できるからです。
もちろん、映画館とムービーパスの間での契約で、映画代金を100%支払う事はなかったと思います。その詳細は不明ですが、それでも、映画館側は顧客が増えれば増える程、映画料金と共に、ポップコーンや飲み物などの売上も増加したでしょうから、ムービーパスの導入は救世主のような存在だったのではないかと思います。
ただ、ムービーパス運営側にとっては、少しでも支出は減らしたいもの。顧客がどの時間帯の映画を見るかによって、支払う金額が大きく異なってくるのは大きな問題でした。
すなわち、ムービーパス側が利益をあげるためには、
– ムービーパスで映画を見に行かないこと
– 映画はできるだけ安い時間帯で見てもらうこと
が必要になってくるのです。
実際、ムービーパスの親会社である、Helios and Matheson Analyticsの株価は、ムービーパスが昨年の8月から開始以来どんどん下がり続け、経営に大きな影響がでてきていたようです。
そのため、実は今回の1ヶ月3本という条件がつく前から、ムービーパスの使用にどんどん制限が加えられていきました。その詳細を次にご紹介していきます。
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アメリカ・ムービーパスに付加された4つの条件
これまで、ムービーパスに新しい条件が加わる度に、ムービーパスから連絡が入り、アプリが変化していくので、その都度「また使いにくくなってしまった」と、とても嫌な気分になっていました。
では一体どんな条件が付加されたのか、それを順番にご紹介していきます。
1.映画のチケットの写真を取って送る
ムービーパスでチケットを購入した後、映画のチケットの写真を取ってアプリから写真を送信する、という条件が加わりました。
もし、それをしなかった場合は、ムービーパスのアカウントが停止になるというのです。
噂によると、「写真を送信しようとしても、アプリの不具合で写真がきちんと送信できない事がある」との事でした。
この噂を聞いたために、しばらくはムービーパスで映画を見に行くのが億劫になってしまいました。
というのも…ネットでの情報によると、ムービーパス側は「アカウントの停止」については、これまでも結構強気な姿勢を見せていて、少しでも間違えた使用をすると、平気でアカウントを停止するという荒業を行ってきたようです。 アカウントが止められて怒っている人の声が、ネットでもよく流れていたからなんです。
だから私も 「万が一チケットの写真が送れなくて、アカウントが停止になったらどうしよう…」という恐怖があったのです。
心配性の私は、動画で写真の送り方を何度も確認してから、映画館へ行きましたが、何の問題なく送信できたので安心しました。
案ずるより産むが易しでした(笑)。
2.一度見たら同じ映画を見る事はできない
一度見た映画でも、すごく感動したら、もう一度見たくなる事ってありますよね。
以前は何度でも見る事ができたのですが、現在は同じ映画を見ようとしても、アプリ上で上記の写真のように“You’ve already seen this movie” と記載されて、一度見た映画は選ぶ事ができなくなりました。
3.映画によっては追加料金が発生
これまでは、好きな時間帯にどの映画でも見る事ができましたが、人気のある映画を、人気の時間帯に見る場合は、追加料金を支払う必要がでてきました。
追加料金は1本につき、2ドルから4ドル位(200〜400円位)かかるようです。
4.新作映画はしばらく見る事ができない
以前は、新作映画でも 3DのIMAX 以外であればすぐに見る事ができましたが、現在は話題作(上記の写真にあるような、トム・クルーズ主演の “Mission Impossible Fallout”や、”Christopher Robin”等)は、上記の写真のように“The premium screening is not supported” と記載され、公開後しばらくの間は見ることができなくなりました。
追加料金を払っても、なかなか見れないのは痛いですね。
新作映画は、ちょっと人気が落ち着いてから、ムービーパスで見れるようになるという事のようです。
5.見れる映画と時間帯が少数に限定され直前になるまで予定を立てられない
最近の変更で、私が一番ショックを受けた変更事項が、
今まではどの時間帯でも見ることできたはずが、今は、映画を見る直前にならないと、どの映画がどの時間帯で見れるのかわからなくなってしまったという点です。
これだけではちょっとわかりにくいと思うので、具体的に説明しますね。
朝、ムービーパスのアプリで確認した時は、今公開中のほとんどの映画が、朝から夜までどの時間帯でも見れるはずだったはずなのに、映画に行く数時間前に再度確認すると、見れるのはホラー映画1本だけで、時間帯も限定されていました。
何かの間違いじゃないか?と思って、他の映画館も確認してみると、やはりそのホラー映画だけか、もしくは全然映画を見れない設定になっている事がわかり、間違いじゃないことが判明。
ムービーパスが、意図的に映画と時間帯をブロックしている事がわかったのです。
それにしても、朝はどれでも見れるような設定になっていて、それがどんどん制限されていいくなんて、やり方があまりにもせこいですよね。
この変更には、ネットでもさすがに多くの人が怒っていました。
ついにアメリカ・ムービーパスの月額料金の値上げ
これまでにご説明した、パスを利用する際の様々な制限に加え、実はもうひとつ大きな変更があると伝えられています。
それは、月額のムービーパス代の値上げです。
予定では今月中に、現在1ヶ月$9.95(約1000円)から、$14.95 (約1500円)に変更になるとの事です。
「あ〜(恐れていた)とうとうこの日が来てしまったか….」 という感じです!
アメリカでは、携帯電話の契約などでも、最初の1年間はとても安い金額で契約できるのですが、2年目以降は急に高くなるという料金設定を取る事が多いです。
現在、ムービーパスの会員数は300万人いるそうですが、最初から、まずとても安い価格設定で多くの会員を集めた上で、徐々に徐々に値上げしていくつもりだったのかもしれないですね。
まとめ:アメリカ・ムービーパスを使ってみた感想
ムービーパスを購入後、映画を見放題で見れるという、映画ファンにとっての理想的な環境を味わってみて感じたことは、いつでも見れると思うと、なかなか見に行かなくなるという現実でした。
ムービーパスを購入した直後は、これからは公開される映画を全部見に行こう! と意気込んでいたのですが、やはりそれは無理がありました。
自分が絶対に見たいと思う映画じゃないと、映画を頻繁に見に行くのは想像以上に難しいというのがわかったのです。
とは言え、ムービーパスがこんなに数々の無情な条件変更をしかけてくるなら、もっと映画を見ておけばよかった…とちょっと後悔しています。
ムービーパスのおかげで、低価格で映画を見れるようになってうれしかったけど、今では直前までどの映画がどの時間帯で見れるかどうかわからないし、毎月3本だけに限定され、その上値上りするとなると、このままムービーパスを使い続ける意味があるかどうかさえ、疑問を感じてしまいます。
今回の変更は、ムービーパスの運営者に
「映画を安く見れるようになったんだから、これ位は我慢して当然」
って言われているみたいな気がして、さすがに腹が立ちました。
今後、一ヶ月に3本しか見れなくなるなら、どの映画でも見れるようにしてもらわない事には、このサービスを続ける意味はないと思います。
画期的なサービスを提供してくれたムービーパスですが、今後どうなっていくのか見届けながら、また報告していきたいと思っています。
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