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メル・ギブソン監督の映画「ハクソーリッジ」は、第二次世界大戦中の日本とアメリカの激戦地沖縄での戦いを描いた、実話を元にした作品です。
リアルな描写が話題を呼んで、2017年度のアカデミー賞には、主演男優賞、監督賞、他5つの賞にノミネートされましたが、結果は編集賞と録音賞の2部門にとどまりました。
日本での公開は、2017年6月24日の予定です。
日本とアメリカの戦いが中心テーマになってくるだけに、日本が悪者になるのではないか…と日本人だったら心配してしまう所ですが、幸いな事に日本を憎々しく描いた映画ではないので、そういう点では安心して見ていただけると思います。
では「ハクソーリッジ」とは一体どういう映画なのかをご紹介していきますね。
ハクソーリッジ命の戦場(Hacksaw Ridge)
- 監督:メル・ギブソン
- 脚本:アンドリュー・ナイト、ロバート・シェンカン、 ランドール・ウオレス
- 出演者:アンドリュー・ガーフィールド、テリーサ・パーマー、ヴィンス・ヴォーン、サム・ワーシントン、他
引用元:wikipedia
映画「ハクソーリッジ」主人公のデスモンド・ドスについて
ここから先、ネタバレあります。知りたくない人は気をつけて下さい。
敬虔なキリスト教徒
ハクソーリッジの主人公のデズモンド・ドスは、セブンスデー・アドベンチスト(Seventh-day Adventist Church) というキリスト教のプロテスタントに属する教派の信者です。
それもかなり熱心な信者で、食事も肉は一切食べない菜食主義者です。
デスモンドは、お国のためにと、第二次世界大戦の兵士に志願します。
それも、普通の兵隊としてではなく、傷ついた兵士を助ける衛生兵、つまり戦地での看護師的な役回りの兵隊に志願するのです。
コンシエンシャス オブジェクターとは?
ここで問題になってくるのが、彼が CONSCIENTIOUS OBJECTOR(コンシエンシャス オブジェクター )である事なんです。
CONSCIENTIOUS OBJECTOR (コンシエンシャス オブジェクター)って、あまり聞いた事のない言葉です。
ネットで調べてみると 「良心的兵役拒否」 と出てきます。
これだけ聞いても、一体何の事なのか、全然わからないですよね。
この良心的兵役拒否(コンシエンシャス・オブジェクター)の人というのは、一般的には戦争へ行きたくない人が、兵役を拒否するための言い訳にも使う表現なので、戦争へ行く事は望まないのがほとんどみたいなのです。
画像:pixabay
でも、この映画の主人公のデスモンド・ドスの場合は、自分から衛生兵として戦争に行き、アメリカのために自分を捧げる事を切望しています。
ただ、自分の主義主張上、銃やナイフなどの戦争の武器は決して使わないし、戦争であっても相手を殺さない事を主張している人なんです。
つまり、戦地へ武器をもたずに丸裸で行くって事なんです。
もし、自分が誰かに銃を突きつけられて殺されそうになっても、仲間の兵士が殺されそうになっていても、銃やナイフを使わないので、自分はもちろん、仲間を助けてあげる事もできないって事なんです。
いじめを受けても意志を曲げない
一般的な感覚だったら、そんな武器も使わないような人に戦争に来てもらっても、何の役にも立たないし、邪魔なだけだから必要ない、って思いそうなものですよね。
実際、兵士として訓練を受ける事になったデスモンドは、軍の上の人や、同じ兵隊仲間達にも、厄介者扱いされて、すごいいじめを受けたりするんです。
こんな人がいたら、軍隊の統制も取れなくなるし、早く軍隊から出ていって欲しい、ってみんな思うんですよね。
軍隊のいじめって、かなりハードです! 学校でのいじめの原点みたいなのが、軍隊のいじめにあるのかな…って思ったりする程です。
でも、どんなにいじめられても、デスモンドはものすごく意志が強くて、自分をいじめる人に対して卑屈になったり、腹を立てる事もなく、衛生兵として戦争へ行く意志を決して曲げる事はないのです。
正直言うと、ここまで意志の固い人が世の中にはいるんだ!!!…と、かなり驚いてしまいました。
結局、彼は「良心的兵役拒否」を貫き、武器を使わない衛生兵として戦争へ行く事になるのです。
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映画「ハクソーリッジ」のみどころ
ハクソーリッジとは?
映画の題名にもなっている「ハクソーリッジ」とは、沖縄での戦闘地だった浦添市の「前田高地」の崖の事を意味しています。 その切り立った崖を見て、アメリカ人がつけた呼び名が「ハクソーリッジ」でした。
崖の高さは150m位もあって、この崖の上の方を日本軍が陣取っていて、アメリカ兵は、下の方から、崖を登って日本兵に攻撃するという形をとるのですが、崖があるために、米軍はなかなか日本兵をやっつける事ができなかったのです。
普通だったら、ここで「日本いいぞ!頑張れ〜!」となる所ですが、この映画を見ている限りは、どうしてもアメリカ側に立って見てしまうので、あまりにも強い日本兵に逆にイライラしたりしてしまいます。
日本兵は布の帽子だけで戦ったのか?
この映画の中では、アメリカ兵はみんな立派なヘルメットをかぶっているのに、日本兵は布の帽子だけで戦っています。
画像:pixabay
布だから、頭に撃たれたらすぐにダメージを受けてしまって大変な事になるのに、日本人は精神力だけで戦わないといけないのか…ヘルメットもないような状況で戦うのは本当に大変だな、と思っていましたが、実は日本兵も、ちゃんとヘルメットは支給されていたそうです。
日本兵が被っていたヘルメットは、「鉄帽(九◯式鉄帽)」と呼ばれていました。
素材は、鉄だけではなく、他の金属も入っている素材で作られていて、重さ約1KGで、厚み1mm。
銃弾が当たった時に、ヘルメットがそれを吸収して、頭に被害が及ばないように、わざと割れやすく作られているなど、大変高性能な作りのものだったそうです。
この映画の中には出てこなかっただけで、日本兵もヘルメットをかぶって戦っていた事実に、大変ホッとしました。
一人で兵士を助けるデスモンド
この映画は、その「ハクソーリッジ」での戦いで、武器も持っていないデスモンドが、たった一人で、負傷した兵士をどんどん助けていくというのが映画の主題です。
@HacksawRidge | Must See | Nepali Times
Story of what religious fervor & natural human compassion can accomplish. https://t.co/reaG2tijMC pic.twitter.com/nNa0vo1XqI— Desmond Doss (@DesmondDoss) June 6, 2017
助けた人数は全部で75人近くいたとか。
彼が崖から降ろして助けようとした兵士の中には、日本兵もいたそうですが、日本兵は助からなかったみたいです。
せっかく降ろされてきても、アメリカ側が敵の日本兵を助けようとはしなかったのかもしれませんね。
リアルな負傷兵の様子
この映画には、多くの負傷した兵士達が出て来るのですが、その怪我の様子がものすごくリアルです。
足がちぎれていたり、死体をねずみが食べているシーンもあったりして、正直ぎょっとしました。
戦争映画は他にも色々見てきたけれど、これほどに怪我をした兵士の様子を克明に表現した映画は、今までなかったような気がしました。
監督のメル・ギブソンは、それにかなり力を入れていたんでしょうね。 あれだけの多くの特殊メークを施すためには、大変な時間と費用がかかっていたと思います。
次のページでは、この実在に存在した デスモンド・デスという男性が、どういう人だったのか(御自身の写真もあります!)をご紹介します。
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