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映画「エイリアン・コヴェナント」の聖書的解読【Part2】

サタンに「デビッド」という名前をつけた皮肉

デビッドという名前は、欧米ではとても人気のある名前ですが、元々は、聖書の中にも出てくる、イスラエルの王「ダビデ」から取られたものです。

ちなみに「ダビデ」はヘブル語で、ダビデの英語表記が「デビッド」になります。

映画「エイリアンコヴェナント」、リドリー・スコット、あらすじ、ネタバレ、聖書
画像:pixabay

ダビデ王はイスラエルの歴史の中で、最も偉大な王であるとされていて、今でもユダヤ人に1番人気のある王様なのですが、このダビデの子孫の中から、人類を救う「メシア」が生まれる事を聖書は預言し、その血筋からイエス・キリストが生まれました。

それなのに、このサタン(悪魔)の象徴であるアンドロイドに、デビッドという名前をつけるって事は、デビッドの子孫として生まれてきたのは、メシアであるイエスキリストではなく、サタンだった、と言っているのと同じ事なのです。

リドリー・スコット監督が、神を否定している事のまぎれもない証拠だな、と思いました。

デビッドが自分をたとえたオズマンディアスとは?

この映画の中で、アンドロイドのデビッドは、

『自分は オズマンディアス(Ozymandias)。王の中の王である』

と、自分の事を象徴する詩を朗読しました。

この「オズマンディアス」とは、紀元前1300年頃エジプトを統一していた、古代エジプト・ラムセス2世の事です。

映画「エイリアンコヴェナント」、リドリー・スコット、あらすじ、ネタバレ、聖書、ラムセス2世
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色々な諸説があるので定かではありませんが、一説によると、旧約聖書の「出エジプト記」で、モーゼがエジプトからユダヤ人の奴隷を引き連れて出ていく事を認めた王がラムセス2世だった、と言われています。

ラムセス2世が、エジプト全土を統一した偉大な王であった事は確かですが、聖書的には、ラムセス2世は自分が信じていたエジプトのラーの神が、モーセの信じているヤハウェの神に完全に敗北しているわけなので、そういう意味では、オズマンディアスを偉大だ!と言う事は、ちょっと的外れじゃないのかな?と思ったりします。

また、この詩は、イギリスの詩人シェリーの作品なのですが、デビッドは、これは「バイロン」の詩だと思い込んでいて、間違いを、もう一人のアンドロイドであるウオルターに指摘されました。

自分を象徴するような「重要な詩」であるにもかかわらず、デビッドは作者を誤解しているのです。

バイロンもシェリーも、イギリスで1700年後半から、1800年前半期に活躍した詩人ですが、バイロンはとてもスキャンダルに満ちた人生をおくった事でも有名な人なので、デビッドが、シェリーではなく、詩の作者がバイロンであると信じていた、というのがちょっと面白いなと思いました。

アンドロイド兄弟の戦い=カインとアベルの戦い

デビッドは、もう一人のアンドロイドである、ウオルターの事を兄弟と呼んでいますが、同じアンドロイド同志の二人は、顔も体つきも全く瓜二つです(映画の中では、ふたりともマイケル・ファスベンダーが演じています)。

ただ、ウオルターは、デビッドより後に造られたアンドロイドなので、デビッドのように、人間への反抗心や自我が生まれないように、従順になるように造られています。

また、後に作られている分、知能やその他の部分でもデビッド以上に賢い存在なんです。

先ほどご紹介したとおり、「オズマンディアス」の詩の作者が、バイロンではなくシェリーだ、と指摘したのは、デビッドより頭のいいウオルターでした。

映画「エイリアン・コヴェナント」の中で、兄貴分であるデビットは、弟分のウオルターを殺すのです。

映画「エイリアンコヴェナント」、リドリー・スコット、あらすじ、ネタバレ、聖書、カインとアベル
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これは、旧約聖書の「創世記」に出てくる、人類初めての殺人事件とされている、兄のカインが弟のアベルを殺す話をモチーフにしているようです。

これを題材にしたドラマや小説も多く作られているので、ご存知の方も多いと思うのですが、これは兄のカインが弟のアベルを嫉妬する事から発生した出来事でしたが、この映画でも、デビッドとウオルターの間にはそれに近いものがあったように思います。

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映画「エイリアン・コヴェナント」の感想

エイリアン誕生の秘密に感動

実を言うと、この前作の映画「プロメテウス」はまだ見ていないので、見ていたらもっと映画の内容が理解できて面白かっただろうと思うのですが、でも、今作だけを見ても、かの有名な「エイリアン」誕生の裏には、こういう裏話があった事がわかるので、私はとても楽しめました。

「エイリアン」が人間の体から出てくるのって、血もドボドボでるし、あんまり見ていて気持ちがいいものじゃないんだけど、でも、怖いけどつい興味津々で見てしまいます。

最初は比較的シンプルな白っぽい形をしていた「エイリアン」が、人に寄生してどんどん進化してていく内に、あのグロテスクな完成体になっていったのには、ちょっと感銘を受けました。

ダニエルズ役のキャサリン・ウオーターストーンの父親とは?

ところで、今作品で、女性の主役を演じていたダニエルズ役の、キャサリン・ウオーターストーンは、あの人気の長寿ドラマ「ローアンドオーダー」に出ていた、サム・ウオーターストーンの娘だったんですね(下記DVDのパッケージの真ん中に写っているのが、サム・ウオーターストーンです)。


そう言えば、少しお父さんの顔立ちに似ているかも…と思いました。

撮影の舞台はNZのミルフォードサウンド

ニュージーランドは、自然がいっぱいなので、映画の撮影にぴったりで人気があります。 かつて、ロード・オブ・ザ・リングの撮影も、ニュージーランドが舞台になっていました。

この映画「エイリアン・コヴェナント」も、ニュージーランド南島下の方にある、ミルフォードサウンドというフィヨルドで出来た渓谷で撮影されています。

実は私、昔行った事がある場所だったので、映画に登場した途端「あ〜ミルフォードサウンドだ!」と気がついて、異常に興奮してしまいました(手前味噌な話で、すみません)。

映画「エイリアンコヴェナント」、リドリー・スコット、あらすじ、ネタバレ、ミルフォードサウンド
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映画の中に、私が知っている、それも結構マイナーな場所が出てくるのって生まれて初めてだったので、ものすごくうれしかったのですが、逆にその場所を知っているだけに、映画に出てくるその場所が、どうしても「別の惑星」だとは思えなくて、ちょっと困ったのも確かです(笑)。

映画「エイリアン・コヴェナント」への評価

いろいろ情報あいうえお 【映画の評価基準】について

前半の30分はちょっとスローでしたが、私の好きな「エイリアン」誕生の秘密もわかったし、いつものことながら「エイリアン」がお腹から出てくるのも、怖い物見たさの面白さが満載でした。それに加えて、映画の根底に流れる聖書的なテーマが、とても奥が深いなと思いました。

というわけで、今回の私の評価は B です。

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