映画「15時17分、パリ行き」は、クリント・イーストウッド監督の最新作で、実際にあった事件の当事者が映画の中で本人を演じるという、ちょっと画期的で実験的手法の映画です。日本公開は2018年3月1日。
映画に登場する登場人物のほとんどが実在の人たちなので、有名俳優はほとんど出て来ないのです。
とてもいい映画なのに、何故評価が低いのか、映画のあらすじと感想を交えながらご紹介していきます。
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映画「15時17分、パリ行き」のキャスト
映画「15時17分、パリ行き」
【監督・脚本】 クリント・イーストウッド
【出演】
スペンサー:スペンサー・ストーン
アレク:アレク・スカトロス
アンソニー:アンソニー・サドラー
スペンサーの母:ジュディ・グリア、
アレクの母:ジェナ・フィッシャー
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— The 15:17 to Paris (@1517toParis) 2018年2月13日
2017年作品「15時17分、パリ行き」 原題:The 15:17 to Paris ★IMDbスコア:5.0 |
映画「15時17分、パリ行き」のあらすじ
カリフォルニア州のサクラメントに住むスペンサーとアレクは、隣同士に住む幼馴染で2人はキリスト教の私立学校に通っていた。
ふたりとも親は離婚し、シングルマザーの母親の元で育てられていた。学校の級友からはイジメられることも多かった。
彼等の母親は先生から呼び出しを受け、授業中に全然集中していないので、ADHDの可能性があるから薬を飲んだ方がいい、とも言われる程。(でも、母親たちはそれを受け入れる事はなかった。)
二人はそれほど大きな問題を起こす事はなかったが、何かあるたびに校長先生の部屋へ呼び出される事が頻繁にあるような、そんなタイプの男子学生だった。
そんなある日、二人は自分たちと同じように校長室へ呼び出される事が多いアンソニーと、自然に友達になった。
3人は銃に関心があった。 学校を卒業後、スペンサーとアレクはアメリカ軍に入る事になった。
一方、アンソニーは大学に進学。3人は、学校卒業後も時折連絡を取り合っていた。
スペンサーとアレクが軍の休みの間ヨーロッパ旅行をする事になったので、アンソニーもそれに加わる事になった。
どこへ行くかは、その時の気分次第。
「パリはあんまり行く気がしないな…」と3人は言いながらも、「チケットもあることだし行ってみようか…」とオランダのアムステルダムから、パリ行きの列車に乗る事になった。
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— The 15:17 to Paris (@1517toParis) 2018年5月15日
そこで、彼等はとんどもない事件に巻き込まれる事になった。
その後何があったのか…それについては、是非映画をご覧になってみて下さいね。
映画「15時17分、パリ行き」の感想
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実話を本人たちが再現
この映画の監督はクリント・イーストウッド。 かつてはイケメン俳優として活躍していたのに、今や映画監督として大活躍中です。
Happy birthday to Mr. Clint Eastwood! pic.twitter.com/9lzQXMoEPV
— The 15:17 to Paris (@1517toParis) 2018年5月31日
日本でもクリント・イーストウッド監督作品は人気ですね。 最近は、実話を元にした映画を撮り続けています。
この作品も、実際 2015年に起こった列車内でのテロ事件「タリス銃乱射事件」をそのまま再現した内容なのです。
この作品が特に面白いのは、その事件に遭遇した本人たちが、そのまま自分を演じている事なんです(子供時代は除いて)。
The day that everything changed. #1517ToParis pic.twitter.com/djNWSwGn2X
— The 15:17 to Paris (@1517toParis) 2018年5月25日
つまり、この映画は、彼等が自分自身で体験した事をそのまま映画の中で「再現フィルム」として撮っている、ということなのです。
クリント・イーストウッド監督は、実話を再現することにとても力を入れているので、
たとえば、彼等がヨーロッパで行ったカフェやレストラン、クラブなども、本人たちが行った所へ行き、その時に着用していた洋服で、会話の内容とかも、その時の事をできるだけ忠実に撮っているそうです。
だから、映画を見ていても、彼等がヨーロッパを旅行しているシーン等は、ごく一般的なアメリカから来た若者の旅行記を見ているような素朴な感じ(まるで「地球の歩き方」の現地ビデオを見ているように思えるほど)で、とても自然です。
この位の若い男性って、やっぱり夜はクラブに行ってきれいな女の子と踊ったりするのが好きなんだ〜とか、飲みすぎて二日酔いになるんだな〜とか、そういう所がとても微笑ましいような気がしました。
列車のシーンも事件現場付近で再現
そんなごく普通の彼等が、列車の中での、恐ろしいテロ行為に遭遇した時は、自分たちが阻止するのは人間として「ごく普通の行動」だと言わんばかりに、一番前に立ち戦い、そして撃たれた男性を助けるのです。
この列車の中での事件も、実際にそれが起こった場所あたりで列車を運行させながら撮影したそうなんです。
だから、すごい臨場感あふれる感じになっているんですよね。
また、この映画の中で登場する列車の乗客の多くも、あの事件の日、実際に列車に乗っていた方たちが登場しているそうです。 たとえば、映画の中で、銃に撃たれ重症を負ったアメリカ人の男性や、彼を支える妻も、実際その場にいた方々のようです。
クリント・イーストウッド監督は、映画を撮るときは、撮り直し無しでサッサと進めていく「早撮り」で有名な監督ですが、こういう細かい事には、すごくこだわりを持って映画を作っている方なんです。かっこいいですね。
でも、自分が体験した事をもう一度再現すること、それが全世界で公開される映画になるって、考えてみたらすごい事ですよね。
その場にいた人を探し出すという作業も、大変だっただろうな…と、ふと思います。
銃が発泡されなかった奇跡
一歩間違えれば、大きな惨事になりかねなかった恐ろしいテロ事件は、アメリカ人若者たちの勇気のおかげで、一人も死傷者を出す事もなく無事に終わる事になりました。
私たちがこの映画を見て感動するのは、彼等は、自分たちは特別な事をしようと思って、テロを阻止した訳じゃなかったこと。 彼等はただ、ごく自然に先頭に立って動いた結果、テロを阻止する事に成功した、という点じゃないかな、と思います。
ここで、軍隊で働いていた経験が見事に生かされたんですよね。
考えてみたら、テロリストの男が、スペンサーに銃の引き金を引いた時、不思議に弾が発泡されなかった。 その時、銃に不具合が起こったからだったみたいです。 でも、これって実はすごい奇跡的な事だと思います!
3人はフランスの大統領から、フランスのレジオン・ドヌール勲章を授与されます。 これは、フランスで最高の勲章として位置づけられているものなんですって。
Welcoming our heroes the right way. #1517ToParis pic.twitter.com/yl228joPbe
— The 15:17 to Paris (@1517toParis) 2018年5月17日
ちなみに、日本人でもこの勲章を授与されている方が何名かいるのですが、ビートたけしさんもその中のお一人なんですよ。
3人が、大統領からメダルを授与されるシーンや、アメリカのサクラメントに戻ってきて街頭パレードをするシーンが映画の中に出てきましたが、うれしくて見ているだけで涙が出てきました。
男の子3人が大人になるっていうこと
この映画の中で、主人公の3人の子供時代を演じているのは、もちろん本人たちではないんですけど、学校で先生に叱られていたばかりの頃は、集中力もなくちょっとした問題児みたいな存在だったのに、こんなに大きく成長して立派になったのを見ると、ひ弱だった子供も立派な大人になるんだな〜というのを、ヒシヒシ感じました。
中でも、アレクは子供の時は1番弱々しい感じだったのに、すっかりたくましく筋肉モリモリのイケメン青年(写真下)になりました。
Tomorrow, you can own the story of the American heroes on Blu-ray™. #1517ToParis https://t.co/TgPtlQTFgE pic.twitter.com/2VaZ84zQmE
— The 15:17 to Paris (@1517toParis) 2018年5月21日
また、もう一つ忘れてはならない大切な事….
それは、クリスチャンとして育ってきた彼等が、毎日の生活の中で、いつも人を助ける事の大切さを感じながら生きてきて、それが、この事件で見事に実を結んだ事です。 とっても感動しました。
映画「15時17分、パリ行き」のまとめ・評価
この映画の半分以上は、このテロを阻止した若者たちの生いたちとか、ヨーロッパを旅行する様子を中心に描いています。
だから、「アクションものの映画を見たい」と思ってこの映画を見たら、退屈だな〜早くテロを退治するシーンにならないかな…と思う人もいると思うので、そう思ってこの映画を見ると、どうしても評価が低くなってしまうのかもしれません。
ドキュメンタリータッチの映画だし、メインに出てくる3人は俳優じゃなくて素人だし、テロリストとのシーンは最後に少しあるだけなので、そういう意味では「あっさりしすぎた映画」だと感じてしまう人もいるかもしれません。
でも、実はそれがこの映画のいい所で、監督の狙いだったんじゃないかな〜と思いました。
早撮りするクリント・イーストウッド監督だからこそ、今回のようなドキュメンタリータッチの映画では、それぞれの登場人物の個性を生かしながら、さらっとその当時の思い出を残したシーンを上手に撮る事ができたんだろうな…!と素人ながら私も感じました。
というわけで、私の評価は B です。
アメリカ人よりも、日本人好みの作品だと思います。映画を見れば、その意味がわかると思います!
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