映画「ファントム・スレッド」は、著名なファッションデザイナーとある女性の間の究極の愛を描いた作品で、日本公開は5月26日の予定。 イギリスの名優ダニエル・デイ・ルイスの最後の作品になると言われています。
2018年のアカデミー賞でも、作品賞、監督賞、主演男優賞等、6部門にノミネートされ、見事コスチュームデザイン賞を受賞するなど、今年絶対的に注目の作品です。
私は何の予備知識もなく見たのですが、衝撃的な男女関係を描いた内容で、かなりショックを受けました。
どんな映画なのか、「ネタバレ」をできるだけ抑えながらご紹介していきますね。
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映画「ファントム・スレッド」のキャスト
映画「ファントム・スレッド」
【監督・脚本】 ポール・トーマス・アンダーソン
【出演】
レイノルズ・ウッドコック:ダニエル・デイ=ルイス
アルマ:ビッキー・クリープス、
カイラ: ノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン、
シリル:レスリー・マンビル
ハーディ医師:ブライアン・グリーソン
WINNER: #PhantomThread's Mark Bridges for Best Costume Design at the #Oscars pic.twitter.com/sMe9DWUl4Z
— Phantom Thread (@Phantom_Thread) March 5, 2018
2017年作品 原題:Phantom Thread ★IMDbスコア:7.8 2018年アカデミー賞 コスチュームデザイン賞受賞、作品・監督・主演男優・助演女優・オリジナルスコア賞ノミネート |
映画「ファントム・スレッド」のあらすじ
レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)は、ロンドンで活躍する、著名なオートクチュールのデザイナー。彼のデザインは、ヨーロッパの上流階級の女性の憧れだった。
レイノルズは精力的に、姉のシリル(レスリー・マンビル)をビジネスパートナーとして、完璧なドレスを作り続けていた。
そんな或る日、レイノルズは朝食を食べに入った田舎のホテルのレストランで、若い素朴な女性に目を留めた。
彼女の名前はアルマ。 レイノルズはすぐに彼女を食事に誘った。
食事の後、アルマを自分のスタジオへ連れて行くと、すぐにサイズをはかり、色を選び、彼女のためのドレスを作り始める。
アルマをモデルに、インスピレーションが与えられたレイノルズはドレスを作り続けるのだった。
一方、アルマはレイノルズにどんどん惹かれて行き、彼の真意がはかりきれずに、とんでもない行動に出てしまったが….。
この後は….是非ご自身で映画を見てみて下さいね。
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映画「ファントム・スレッド」の感想
私も趣味で簡単な小物を作ったりするのが好きなので、1950年代のロンドンのオートクチュールデザイナーの話にすごく興味があって、絶対に見逃せないと思って見に行きました。
予告編で、著名なデザイナーが「自分のタイプの若い女性に出会う」という所までは知っていました。
I feel as if I’ve been looking for you for a very long time. #PhantomThread pic.twitter.com/YZNjijEbV2
— Phantom Thread (@Phantom_Thread) March 4, 2018
でも、それが一体どういうストーリになるのかは全く知らないまま映画を見たのですが、話しは私が予想もしない方向へと進む事になりました。
レイノルズがアルマに惹かれた意外な理由とは
ダニエル・デイ=ルイス演じるレイノルズが、若いけれど、どちらかと言えば野暮ったいアルマに何故目をとめたのか?
その理由は…彼女がまだ磨かれる前の「宝石の原石」のようにピュアで、どんな色にも染まる事ができた事と、その体系が彼のデザインする洋服を着こなすのにピッタリだったから、なのでした。
そう、彼女はいわゆるマネキンのようなモデル体系です。 背が高く、肩幅が広く、胸は小さく、手足が長い。
アルマは、レイノルズに言われる通りに、彼の前に立ち、洋服のモデルになるのです。
レイノルズにとって、アルマのような存在は初めてではありませんでした。 その前にも同じようなモデルの女性がいたのですが、次第に使いづらくなってきて、彼と姉に解雇されていました。
アルマのレイノルズへの気持ちは?
アルマはどんどんレイノルズに恋心をつのらせていくのですが、レイノルズにとっては、アルマの存在はただのモデル(マネキン)にすぎないので、そういう感情は全く持ち合わせていないのです。
でも、純真なアルマにはそれがどうしても理解できず、彼も自分の事を好きにちがいない…と思って、どんどん別の方向に進んでいくのです。
レイノルズの大きな間違いとは
レイノルズは、アルマの事を今まで自分が雇っていたモデルの女性と同じような、自分の言う事をだまって聞く存在だと軽く考えていたようでしたが、実は彼女は全然違うタイプだったのです。
There's entirely too much movement at breakfast. #PhantomThread pic.twitter.com/xlwcTM16ob
— Phantom Thread (@Phantom_Thread) February 24, 2018
そう、レイノルズはファッションの世界では、素晴らしい才能を持ち合わせた人であったけれど、女性との恋愛に関しては「ずぶの素人」だったのです。
その結果、自分より30歳近く年下のアルマに翻弄される事になってしまいました。
アルマの本当の正体
この映画を見ていると、恐らくみんなレイノルズの気持ちに共感してくるんじゃないかな..と思います。 もちろん、私もそうでした。
完璧な作品を作るために、自分の情熱を全て捧げ素晴らしいドレスを作り続けて来たレイノルズの生き方は、一般的な視点から見ると、かなり神経質だし、人間的にはどうかな…と思わされる所もたくさんあります。
でも、彼には自分のペースで過ごすための「生活のリズム」が出来上がっていて、それを崩さない限り、毎日を快適にすごく事ができるのです。
だから、彼の姉のシリルは、それをずっと尊重する事を1番大切に今まで彼に寄り添って生きて来たのです。
アルマが、本当にレイノルズを愛しているのだとしたら、彼が自分の作りたい作品を作れるように、できるだけ協力するべきですよね。 それが「本当の愛」なんじゃないか?と思うのです。
でも、彼女の愛はそれからは程遠いものでした。
レイノルズのの気持ちを全く理解できないアルマは、彼を支える代りに、彼の仕事の邪魔になるような事ばかりをするので、彼は自分のいつものペースを乱されて、今までのようにドレスが作れなくなってしまうのです。
彼女のあまりにも自己中心的な行動が、2人の間に悲劇を生む事になってしまうのです。
映画「ファントム・スレッド」の出演者について
レイノルズ役のダニエル・デイ=ルイス
ファッションデザイナー役を完璧に演じた、ダニエル・デイ=ルイス。
彼の手にかかると、どんな役でも彼のために作られたかのように思ってしまうほどですね。 演技派っていうのは、こういう人の事を言うんだな…と改めて感じさせられました。
In complete denial that this man is retiring from showbiz. Our world will not be the same without Daniel Day Lewis! What's been your favorite DDL role? #DanielDayLewis #Oscars pic.twitter.com/NduFf7HGNi
— TheAnglophileChannel (@AnglophileTV) March 5, 2018
実は、ダニエル・デイ=ルイスは、この映画を最後に引退すると発表しているのです。
まだ60歳なんだし、まだまだ俳優としてもバリバリ活躍できる年齢ですよね。これからも映画にどんどん出演して、その素晴らしい演技を見せて欲しいな…と思うので、未だにそれがどうしても信じられないのです。
引退はやっぱりやめた…と言い出してくれたらいいんですけどね。
ところで、ダニエル・デイ=ルイスは引退を公表後、何とニューヨークでひどい交通事故に巻き込まれ、一時は左手を失う事になりかけたそうですが、幸いな事に、手術で何とか左手をとりとめたそうです。本当に良かったですね!
もしかすると、今回の映画を撮影中も、左手は手術後で使いにくい状態での撮影だった可能性もありますね。
アルマ役のビッキー・クリープス
アルマ役を熱演していたビッキー・クリープスは、ルクセンブルグの出身。 私も今回初めて知った女優でしたが、この役に大抜擢されたようですね。
実際の年齢で、現在34歳なんだとか!
化粧っ気が全然なく、とても純真で透明感にあふれているので、年齢よりもずっと若く見えるし、上品さもあってアルマ役にピッタリだったと思います。
この映画で有名になった事で、今後の出演作も目白押しのようですよ。
映画「ファントム・スレッド」のまとめ・評価
1950年代のヨーロッパの香りが映画全体から漂ってくるような、とても美しい作品です。
ただ、才能あるデザイナーが無神経な若い女性に振り回されるという点では、かなりイライラさせられました。
性格が正反対で、相性が最悪の屈折した2人の関係は、どうしても納得できないものがあるけど、これこそが「言葉では説明できない究極の男と女の関係」っていう事になるんでしょうか?
私の評価はBです。
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