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映画「沈黙-サイレンス」上映までの長い道のりと監督の執念
スコセッシ監督は、元々はイタリアのシシリア出身でカトリック教徒です。若い頃は大変信仰に熱心で、神父になりたいと思っていた事もあったとか。意外ですね〜。
ストイックにカトリック教徒として、常に「人間の本質」を追求しながら生きて行く中で、神父になる代りに、「人間の本質」を映画を通じて描く事に方向転換して行ったのかもしれませんね。
画像:pixabay
「沈黙」を一読したスコセッシ監督は、心を揺さぶられる程感動し、これこそ自分が本当に作りたかった作品だと確信します!
そして1992年、まだ遠藤周作氏が存命中だった頃、実際に彼と会って、「沈黙」の映画を作りたい!と申し出たそうです。
でも、そこからが大変だったみたいです!
スコセッシ監督のような世界を代表する人気監督であったとしても、作品のテーマが暗く重く、かつ 「日本の江戸時代のキリシタン弾圧」というようなマイナーな内容を扱っているだけに、万人受けする作品を発表したいと思っているハリウッドの映画プロデューサーたちに、映画製作を認めてもらうまでには、かなりの時間がかかったのはわかりますよね…
ハリウッド向けの映画にする為、イエズス会の若い宣教師たちを、今ハリウッドで売り出し中の若者にも人気のある俳優を起用したりと工夫をし、とうとう20年以上の時間をヘて、2017年に全世界で公開される事になったのです。 日本人にとっても、とてもうれしい事ですね!
さて、スコセッシ監督がここまでこの映画を作りたいと思ったもう一つの理由に、「沈黙」の主人公、セバスチャン・ロドリゴの実在のモデルの存在がありました。
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「沈黙」の主人公のモデル ジュゼッペ・キアラとは?
ネタバレがありますので、ご注意下さい。
実は「沈黙」は、遠藤周作の小説なのですが、その中に出てくる事件や人物は、史実を元に書かれていることはご存知でしたか?
小説を読むと、江戸幕府が行ったキリシタン弾圧がここまでひどかったのか、読むのが辛くなるような箇所が延々と出てきますので、それが実際にあった出来事を元に書かれていると思うと、心が痛くなる程です。
作品の中では、主人公のロドリゴはイエズス会の「ポルトガル人の宣教師」として描かれていますが、実は、彼のモデルになったのは、イタリアのシシリア出身のイエズス会の宣教師 ジュゼッペ・キアラでした。
画像:pixabay
そうなんです、マーティン・スコセッシ監督も、イタリアのシシリア出身! 同じシシリア出身のジュゼッペ・キアラの事を映画に取り上げたいと考えたのです!
さて、実在のジュゼッペ・キアラも、作品に登場するロドリゴと同様、日本の江戸幕府のキリシタン弾圧で「棄教」してしまった仲間の為に、苦労をして日本へ渡ります。
でも、志高く日本へ行くのですが、そこで日本の隠れキリシタン達に出会い、自分の人生を完全にひっくり返す程の本当に大変で悲惨な目にあって、結局、ジュゼッペ・キアラも日本で棄教、つまり信仰を捨てキリスト教徒ではなくなるのです。
これを当時の言葉では「転ぶ」と呼んでいたようです。
その後、幕府により、死刑囚の名前・岡本三右衛門という名前を授けられ、その死刑囚の妻を娶る事になります。
結局、そのまま日本で生き、83歳で亡くなりました。
普通、カトリックの司祭・宣教師は、一生結婚せずに人生を送りますが、棄教した段階でキリスト教徒ではなくなるので、結婚しても当然問題ないという事なのですが、幕府のやり方は本当にえげつないですね…
ところで、最近、ジュゼッペ・キアラの肖像画が見つかったと話題になりました。
真面目そうで素敵な方だな〜と思ったのですが、どう思いますか?
さてこの映画「沈黙-サイレンス」、小説と比較して、どのように映画化されているのか、スコセッシ監督の執念がどこまで映像化されているのか公開が楽しみです。
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