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映画「スピリット」の謎の数々について

では、映画に出てくるキーとなってくる事柄について、ひとつずつ分析解析していきます。

ケイシーは何故冷静にケビンに対抗できたのか?

今回誘拐された3名の女の子の中で、問題児であると言われているケイシーだけが、ケビンの行動を読んでいるかのような、冷静な判断を下す事ができました。

たとえば、ケビンに連れて行かれたマルシア(ジェシカ・スーラ)に対し、「おしっこをかけてやればいいから」とアドバイス、それを実行したマルシアは、すぐにケビンから逃れる事ができたのです。

では、ケイシーは一体何故それができたのでしょうか?

実は、映画の中でもフラッシュバックで語られている通り、ケイシーは幼い時に父を亡くし、叔父に引き取られて以来、現在(高校生)にいたるまで、叔父から虐待を受けて育ってきていたのです。

問題児であると回りから思われていたケイシーでしたが、実際は問題児ではなく、叔父から自分を守るための方策でした。 悪い事をして、少年院に入れば、叔父のそばにいなくてもすむからだったのです。

人に虐待をしかける人間の心理を経験から理解している、悲しい女子高生だったのです。

「ビースト」が誕生する前に花を買った理由は?

ケビンが駅へ行き、駅でパトリシアの人格に代って花を買い、その後その花を駅のプラットフォームに置いて、電車に乗り込み、裸になってビーストになりました。

これが示している意味は

古い人格は一度死んだ。そのために弔いの花をプラットフォームに置いた。裸になって、新しい人格のビーストとして生まれ変わった。

という事なのではないかな…と思いました。

一度ビーストになったら、もう古い23の人格が出て来る事はないのかな…と思っていましたが、そうではなかったようです。

何故名前を呼ぶ事がビーストの弱点だったのか?

ケビンをずっと診察していた、精神分析医のフレッチャー博士が、殺される前に書き残した遺書には、


「Say his Name “Kevin Wendell Crumb”(彼を ”ケビン ウエンデル クラム”と呼びなさい」

と書かれていました。

筋肉もりもりの強いビーストになって壁を這い回っているケビンを、ケイシーがそう呼んだ時、彼は元のケビンに戻りました。

思えば、この映画の中で、彼がケビンという主人格に戻ったのはこの時が初めてでした。

昔、ケビンがまだ小さい子供だった頃、母親にそう呼ばれて虐待されていた時の記憶が蘇ったのです。

彼は力を無くし震えて恐れおののいていました、まるで子供の頃のように。

元の自分にもどったケビンは、自分を殺して欲しいとケイシーに言って、ショットガンのある場所を伝えます。

すると、自分たちが殺されるのを知って驚いて、ケビンの別の人格が順番に現れはじめ、またケビンにビーストが現れてしまったのです。

ケイシーが再びケビンの名前を呼んでも、もうケビンに戻る事は二度とありませんでした。

何故なら、ケビンは眠らされてしまったからだ、と言うのです。

名前を呼べばケビンに戻ってしまうのであれば、ビーストが弱すぎて話が続かなくなるからなんでしょうけど、ちょっと論理が矛盾しているような気もしました。

何故ビーストはケイシーの傷跡を見ると戦うのをやめたのか?

ケイシーとビーストの最後の戦いの途中、ビーストはケイシーの体にあった傷跡を見ると、戦いをやめてしまったのです。

それは一体何故だったのでしょうか?

ケイシーの傷跡は、今回のビーストとの戦いで出来たものではなく、昔叔父に虐待されていた時代にできたものでした。

ビーストは、その傷跡から、ケイシーが自分と同じように虐待されていた過去がある事を察知し、自分と同類の被害者だった彼女を憐れみ攻撃をやめたのではないか、と思います。

何故ビーストは銃で撃たれても死ななかったのか?

ケイシーが至近距離からビーストにライフルで撃っても、ビーストが死なないのが不思議でした。

でも、映画の最後に、映画「アンブレイカブル」に登場したデビッド(ブルース・ウイルス)が出てきて、自分と同じような存在だというのを見て、あ〜そういう事だったのか…とわかったのです。

その理由は、

映画「アンブレイカブル」は、M・ナイト・シャラマン監督の2000年公開の映画ですが、この映画の中で、デビッドは不死身の存在でした。

それと同じように、ビーストになったケビンも不死身。

つまり、「アンブレイカブル」のデビッドと、「スピリット」のビースト(ケビン)は、同じ不死身同志!っていう事になるのです。

映画「スピリット」と映画「アンブレイカブル」が関係している、というのはそういう意味だったという訳なのです。

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映画「スピリット」の感想

ジェームズ・マクヴォイの演じ分けがすごかった

解離性同一性障害(多重人格)を描いた作品って、俳優の演じ分けの力量が問われますよね。それがうまくできない限り、物語に説得力がなくなってしまうと思うんですけど、今回の映画「スピリット」については、主演のジェームズ・マカヴォイが、それを楽しみながら上手に演じて分けているな〜と思いました。

主人格のケビンは、この映画の中ではほとんど出てこないのですが、ケビンになった時だけは本当に普通の人なのに、別の人格の時はすごい癖者ぞろいという感じでした。

デニスという強迫性障害を持つ攻撃的な人格が、バリーという別の人格のふりをしていて、それが、精神分析医の博士にバレたシーンで、バリーではなくデニスに戻った時の演技など、顔の表情がガラリと変化する様子など、素晴らしい演じ分けだなと思わされました。

また、唯一の女性人格であるパトリシアになると、雰囲気がとたんに女性ぽくなって、いわゆるゲイの人っぽいような感じになるのも見事でした。

ただ、9歳の子供ヘドウイッグになった時だけは、子供になったというよりも、ちょっと知能指数が低くなった人が現れたみたいな印象の方が強くて、他の人格は完璧に演じ分けているだけに、演じ方に物足りなさを感じだのですが、そこまで要求するのは酷なのかな…。

さて、攻撃的な人格のデニスですが、すごくきれい好きなので、常に黄色い色のハンカチのようなものを持ち歩いているのですが、色の感じから、お掃除用のダスキンの布を持ち歩いているみたいな感じで、デニスはお掃除用にダスキンを使っているんだな…と妙に納得してしまいました。


そうなんです、ダスキンは日本にしかないので、これは単なる偶然にすぎないので、それで面白いな…とおもったんです(笑)。

ケイシー役のアニャ・テイラー・ジョイの将来に期待

最後までケビンと戦ったケイシー役のアニャ・テイラー・ジョイ、とても憂いがある風貌がとても魅力的で、今回の難しい役にもピッタリでしたね。

彼女の母はアフリカ系の血が入っていたスペインとイギリスの混血、父は、スコットランドとアルゼンチンの混血というのが、様々な血が混ざったエキゾチックな魅力を醸し出しているんでしょうね。

クレア役のヘイリー・ルー・リチャードソンの別の魅力を発見

ヘイリー・ルー・リチャードソンと言えば、最近公開された映画「スウィート17モンスター」では、主人公の親友で、どちらかと言えばおとなしいタイプの女子高生を演じていたのですが、今回はみんなの人気者タイプの女子高生でした。

ブロンドで親しみやすい女の子なので、これから幅広く色々な役に活躍できるタイプなんだろうな、と思いました。

映画「スウィート17モンスター」については、こちらからどうぞ。
【ネタバレ注意】映画「スウィート17モンスター」あらすじと感想!

映画「スピリット」から続編の映画「グラス」へ

M・ナイト・シャラマン監督の2019年公開予定の次回作の映画「グラス」は、映画「スピリット」と映画「アンブレイカブル」の続編みたいな映画になるみたいですね。

両方の映画に登場している登場人物がみんな集まって出て来るっていう事なのですが、主に、映画「ブレイカブル」で不死身の男性デビッドを演じていたブルース・ウイルスが、ケビン(ビースト)を探し出すようなストーリーになるみたいです。

どんな映画になるのか、今からすごく楽しみです!

映画「スピリット」への評価

いろいろ情報あいうえお 【映画の評価基準】について

M・ナイト・シャラマン監督の作品は当たりハズレがあるので、あまり期待はしていなかったのですが、今回は最後まで楽しめました。

私の評価は B です。

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