【ネタバレ注意】映画ムーンライトのあらすじと本音の感想！日本公開日は？

映画「ムーンライト」のネタバレ感想

映画「ムーンライト」 映像がきれいな理由は？

この映画、とても悲しい内容なのですが、画像がとってもきれいで、優しくて、キラキラした印象を受けました。

実は、映像に特殊な加工をすることで、あの透明感のような感じを作り出していると知り、なるほど〜だから画面がとてもきれいだったんだな〜と納得しました。

お話が悲しいだけに、その美しい風景が余計に心にしみるというか、全体を通じて、とってもきれいな絵本を見ているような気持ちにさせられるような作品でした。

映画「ムーンライト」 悲しい虐待の無限ループ

映画やドラマを見ていると、よく出てくるのが、貧しい黒人の家庭の母親や父親が子供を虐待する様子です。

お話だけの話だったらいいのですが、悲しい事に、現実の世界でもそういう事は多いようです。

実際、この映画の原作者も監督も、そういうつらい環境の中で育ってきたとの事。

両親に虐待されて育つと、自分も同じ事を子供にしてしまうという悲しい連鎖が始まってしまうようです。

何故、嫌な事をされたのに、それを自分も繰り返してしまうのかずっと不思議に思っていました。

残念な事に、そういう虐待経験が自分の心の中に「体験」として刷り込まれてしまうために、それが間違っているとわかっていても、それを変える事ができなくて同じ事をしてしまうようなのです。

この映画のシャロンの母親みたいに、麻薬中毒で、お金を麻薬に全て使ってしまって、子供の事はほったらがしで、生活が苦しくて貧しくなってしまう、という事になってしまうのも、実はその母親自身も、かつて同じような事をされて育ってきたから変えられない…という無限ループに落ち込んでしまっている、という事なのです。

虐待の無限ループを断ち切る方法は？

シャロンは、自分が学校で友達にいじめられている事、つらい事も母親に打ち明ける事もできないのです。

それどころか、母親もシャロンの学校の友達と同じように、シャロンの事をバカにしてののしったりするほど。

だからこそ、この映画のホアンみたいな全く水しらずの優しい人が救世主のようにあらわれて、可哀想なシャロンを助けてくれるのを見ると、すごくホッとします。

ホアンが、黒人は月明かりの下では、青く見えるんだよ...と優しくシャロンに言うのですが、それが今回の映画のタイトル「ムーンライト」につながっています。

ホアンも、かつては親に虐待を受けて育った人でした。

もし、シャロンがホアンの実の息子だったとしたら、あんなに優しくしてあげる事はできなかったかもしれないですね。

シャロンが自分とは全く縁のない子供だったからこそ、自分と同じようにつらい目にあっているのを見て、助けてあげたいと素直に手をさしのべる事ができたのではないかな…と思います。

ホアンのような人の存在が、幼い子供の心に刷り込まれてしまった、両親への絶望にも似た悲しい思いを少しでも和らげて、将来への希望へつなげてくれるような気がします。

映画「ムーンライト」唯一の友達ケビンとの関係について

さて、シャロンの唯一の友達ケビンとの関係が、この映画の中では重要な意味をもっていたと思うのですが、何故か、私にはそれがあまり強く感じられなかったのです。

それよりも、子供時代のシャロンと優しいホアンやホアンのガールフレンドとの関係の方が、もっと意味が深くて印象的でした。

この映画の中で、シャロンの子供時代のお話が、映像も、出てくる俳優も、演技も１番良かったと思います。

特に、大人になってからのケビンは、演じていた俳優のせいかもしれないのですが、あまり魅力のない男性に見受けられたので、余計に感情移入ができなかったのかもしれません。

映画「ムーンライト」キャスト

映画「ムーンライト」は、映画の制作費用としてはかなり低めの500万ドル（日本円で約５.7億円位）で作られた映画だったので、出演している俳優も、あまり知名度のない人が多かったのですが、逆にそれが映画を新鮮に見せていたような気がしました。

キャストの中から、３人だけご紹介しますね。

マハーシャラ・アリ（ホアン役）

主人公シャロンを優しく助けるキューバ出身の男性ホアンを演じたマハーシャラ・アリ、この映画の中で際立って素敵で、何が素敵なんだろうな…と考えてみたのですが、その笑顔じゃないかな？って思いました。

映画では、シャロンの子供時代編だけに出演していたのですが、その印象的な演技で、アカデミー賞の助演男優賞を獲得したのも納得です。

実は、今回のアカデミー賞の作品賞にノミネートされていた「Hidden Figure」という、NASAで活躍した３人の黒人女性を描いた映画でも、マハーシャラ・アリが出ていました。

映画の中ではキューバ出身の男性役でしたが、実はカリフォルニア出身で、なんとイスラム教徒なのです！ イスラム教徒がアカデミー賞の助演男優賞をとったのは、今回が初めてだったそうです。

これから要注目の黒人俳優です！

トレバンテ・ローズ（大人のシャロン役）

主人公シャロンの大人時代”ブラック”を演じた俳優。

シャロンの子供時代や高校時代を演じていた俳優の二人は、とても悲しい哀愁のある目をしていたのですが、この大人時代を演じたトレバンテ・ローズは、そういう悲しさを乗り越えた、大人の貫禄があって、もうあの頃の可哀想なシャロンじゃないんだ、という安心感を感じさせてくれました。

とっても体格がいい方なのですが、元々は、スポーツ選手で、フットボールのランニングバックや陸上競技で活躍していたそうです。

大学卒業後、モデル＆俳優に転身し、見事今回の大役をつかんだんですね…!

ナオミ・ハリス（シャロンの母親役）

この映画で、シャロンのどうしようもない母親ポーラ役を演じているナオミ・ハリス、この人もこの役のように、親に虐待されて育った人だったのかな…と思わせる程のリアリティがある演技でした。

でも、本当は全然そうじゃないのです。

というのも、彼女はイギリス人でケンブリッジ大学を卒業したような才媛なのです。

また、００７の「スカイフォール」と「スペクター」では、ボンドガールを演じるような美しい方だったとは、驚きでした。

だから、今回の役は、最初あまり乗り気ではなかったんですね…。イギリス人なのに、アメリカの黒人英語もすごく自然で違和感なかったです。

今回の役で、アカデミー賞でも助演女優賞にノミネートされた事をきっかけに、汚れ役にもどんどんチャレンジして、どんどん役の幅を広げていくんでしょうね。

映画「ムーンライト」の評価は？

アカデミー賞の作品賞もとったし、評判もすごくいい映画「ムーンライト」なのですが、

私の評価は B です。